7月から8月にかけては一年でいちばん暑さが厳しい頃。二十四節気では文字通り大暑といいます。七十二候では「蓮始開」にあたり、蓮の花が開く時期でもありますが、4日くらいで、はかなくも散ってしまいます。
じめじめとした湿気と、急激に激しくなってくる暑さで、体の不調を訴える人が増えてきますが、毎日の食生活で健康を保ちましょう。おすすめしたいのはカレーです。カレーの薬膳的な魅力についてお届けします。
二十四節気:半月ごとの季節の変化を示す暦。それをさらに分けて自然界の移ろいを知らせるのが七十二候。
自然界の変化に合わせて体も変化する。それに合わせて暮らすことが健康の秘訣というのが東洋医学の根底にある「天人合一」という考え方です。
「暑」の正体は、まさにじめじめとうっとうしい蒸し暑さ。この暑さと湿気が同時に体に侵入することにより、さまざまな不調が現れやすくなります。
ここ1か月の体調を振り返り、まずはチェックテスト。
□むくみで靴下の跡が消えない
□体がだるく疲れが取れない
□頭、節々の痛みがある
□動くのが億劫だ
□おなかの調子を崩しがち
5つの項目で2つ以上にチェックがついた人は、湿気にやられやすい人。
湿気の正体は水ですが、体を冷やし、下のほうに停滞するので、体がだるい、頭や節々が痛いといった不調は「湿」の停滞によるものと考えられます。
暑さで調子が良くないときでも食べられるのがカレー。薬膳的にまず注目したいのがカレーに欠かせないスパイスや香味野菜。カレーのスパイス類を働き別に分類すると次のようになります。
しょうが、コリアンダー、フェンネル、クミン
カルダモン
唐辛子、チョウジ、にんにく
ターメリック
炒め物やサラダにカレー粉をちょっと加えるだけでも、薬膳的なアレンジになります。
夏にカレーを作るなら、具材にもこだわりましょう。
薬膳的には、豚肉がおすすめ。豚肉は、肉の中でも潤いを補う働きが高く発汗して体の水分が失われがちな夏に最適です。
さらに、トマト、ナス、ゴーヤなどの夏野菜には、体にこもった熱を取り除く性質が。夏野菜には、老化の原因となる活性酸素を取り除く抗酸化成分も豊富です。
カレーにぜひ加えたいのがヨーグルト。ヨーグルトなどの乳製品は、薬膳では潤いを補う食材に分類されています。
暑さで消耗した体は、エネルギーだけでなく潤いも不足していますから、ヨーグルトで水分を補給すると同時に腸内環境を整える働きも期待できます。
日ごろ、何気なく食べているカレーには、このように底知れぬパワーが隠れているのです。
インド風、タイ風、欧風など、最近は様々なタイプのカレーが楽しめますから、おいしく食べて夏の体を養ってください。
美容ライター。国際薬膳師。鍼灸師。国際中医師。美容ライターを経て東洋医学の世界へ。雑誌やWebでライターとして活動しながら鍼灸師の資格を取得。現在、鍼灸の施術と薬膳教室の主宰も行っている。