連載コラム「美のリズム」
国際薬膳師 岡尾知子

Vol.21
ウィルスに負けない生活

陽気が高まり、胸が弾む桜の季節です。3月の二十四節気は「啓蟄」「春分」。七十二候では、「桃始笑(ももはじめてさく)」といって、花が咲き始めるころです。
ゆっくり花が咲くようすを昔の人たちは「笑み」に例えました。
今年はマスクが欠かせませんが、これも、体のことを考える良いきっかけと前向きにとらえましょう。
細菌やウイルスに感染しても全員が発症するわけではありません。発症しても軽症ですむ人と重篤になってしまう人がいます。
この違いは何かというと、これが免疫力なのです。

二十四節気:半月ごとの季節の変化を示す暦。それをさらに分けて自然界の移ろいを知らせるのが七十二候(しちじゅうにこう)。

腸内環境こそが免疫力を高める

免疫力の重要なポイントとなるのが、腸内環境です。最近、腸内に棲む細菌叢(さいきんそう=最近の集まり)が、健康を保ついろいろな働きをしてくれていることがわかってきました。その中には、免疫系に重要な役割を果たす腸内細菌もあります。
こうした有用な細菌を増やし、腸内環境を良好に保つことが、感染症に負けない体を作るうえでたいせつです。

健やかな腸内環境を維持するための食生活のポイントは次の3つです。

1.発酵食品を欠かさない

発酵食品とは微生物の力で発酵させた食品のこと。日本食でおなじみの納豆、みそ、しょうゆ、甘酒、漬物のほか、ヨーグルトやチーズなども発酵食品です。これらの食品には乳酸菌、ビフィズス菌、麹菌といった善玉菌が多く含まれているので、食べ物から直接、善玉菌を摂取できます。日ごろから肉、魚、脂肪分の多い食べ物をとっている人は、腸内で悪玉菌が増えがちです。
おなかが張りやすい方、おならが臭い方は、特に要注意! 毎日の食生活に発酵食品を積極的に取り入れるようにしましょう。

2.オリゴ糖と食物繊維を摂る

発酵食品と組み合わせて摂るとよいのが腸内で善玉菌のエサとなるオリゴ糖、そして水溶性食物繊維です。オリゴ糖は甘味料として売られているほか、野菜ではゴボウ、たまねぎ、アスパラガスなどに含まれます。水溶性食物繊維はオクラ、海藻、きのこ、里芋などに豊富。ヨーグルトにオリゴ糖をかける、納豆にオクラやメカブやモズクをトッピングするなど、朝食時に食べる一品に加えれば、無理なく習慣化できるでしょう。

3.消化のいい食事を

胃や腸に負担をかけない食事を心がけることも大事です。肉や魚などのたんぱく源は重要ですが、脂肪分の多いものに偏ると、胃腸に負担がかかり、腸内環境に悪影響が及びます。暴飲暴食は控え、たくさん食べたら翌日は少しお腹を休めるなどの工夫をしてください。腸内環境を整えるには、ストレスをためないことも重要です。腸の働きはストレスと密接に関係のある自律神経がコントロールしているからです。

たまにはゆったり、何もしないで一日を過ごすのもよいでしょう。春の暖かな日差しの下でのんびりウォーキングを楽しむのもおすすめです。のんびりゆったりと、健康な暮らしをめざしましょう。

岡尾知子

美容ライター。国際薬膳師。鍼灸師。国際中医師。美容ライターを経て東洋医学の世界へ。雑誌やWebでライターとして活動しながら鍼灸師の資格を取得。現在、鍼灸の施術と薬膳教室の主宰も行っている。