連載コラム「美のリズム」
国際薬膳師 岡尾知子

vol.3
肌を内側から支える
5つのポイント

9月の二十四節気は「白露」と「秋分」です。「秋分」は、自然界が「陽」から「陰」に切り替わる時にあたり最も体調を崩しやすい時季です。秋とはいっても暑さがとくに厳しかった今年は、体がいつもより消耗していますから、この時期にしっかり立て直しを図りましょう。
肌の乾燥が進むと化粧ののりが悪くなって、小じわやたるみが進行してしまいます。さらに肌のバリア機能が低下して肌荒れが起きたり敏感肌に陥ってしまったりすることもあるのです。

この時期に行いたいのは、体の水分不足を根本から補うインナーケア。そこで、美肌にも有効な、インナーケアの5つのポイントをご紹介していきましょう。

アミノ酸をたっぷり摂る

第一が、肌の材料であるタンパク質を構成するアミノ酸。アミノ酸は、肌の水分保持に欠かせない天然保湿因子(NMF)や、肌のハリ・弾力を支えるコラーゲン、エラスチンの原料でもあります。
食事で摂るなら、肉や魚、豆腐、乳製品といったタンパク源を しっかり食べましょう。

ビタミンB群で代謝を活発に

ビタミンB群は栄養素をエネルギーに換える際に欠かせない存在。中でもビタミンB2は肌との関係が深く、細胞の代謝をサポートしてくれます。
豊富に含む食材はうなぎ、サバなどの青魚、卵、納豆など。水溶性ビタミンなので、毎日心掛けて摂ることが肝心です。

適度な脂質で潤いアップ

なめらかな肌を保つのためは、適度な脂質も必要。脂質にはいろいろな種類がありますが、最も摂りたいのはDHA、EPA、α-リノレン酸などの「オメガ3」脂肪酸です。オメガ3脂肪酸には、老化の引き金となる炎症を抑えたりたり、血液をサラサラにしたりする作用があります。魚の脂や、エゴマ油、アマニ油、シソ油などに含まれるので意識して献立に取り入れるようにすると よいでしょう。

ビタミンEの若返りパワー

肌老化が進む大人世代の女性に大切なのが、「若返りのビタミン」といわれるビタミンEです。ビタミンEには、老化の原因となる活性酸素を抑える働きがあり、血液中のコレステロールの酸化を防いで血液循環をサポートします。食材では、かぼちゃ、アボカド、ナッツ類に多く含まれています。意識して食べるようにすれば、冷えやコリの 予防にもなります。

秋には白い食べ物を

東洋医学に基づく薬膳では「秋には白い物を食べるのがいい」とされています。白は、五臓の「肺」に作用する色。体のバリア機能を担う皮膚も呼吸器官の「肺」と密接な関わりがあります。
薬膳で体に潤いを与えるとされる食材の中には白きくらげ、白ごま、牛乳、卵、梨など、白い食材がいろいろありますので、ぜひ取り入れてみてください。
根本から美肌を目指すなら、スキンケアだけでなく食事やサプリメントで内側から補うことも大切です。5つのインナーケアも意識して乾燥の季節に備えましょう。

岡尾知子

美容ライター。国際薬膳師。鍼灸師。国際中医師。美容ライターを経て東洋医学の世界へ。雑誌やWebでライターとして活動しながら鍼灸師の資格を取得。現在、鍼灸の施術と薬膳教室の主宰も行っている。