連載コラム「美のリズム」
国際薬膳師 岡尾知子

vol.7
一年でもっと美しく!
若さのための10の約束

1月の二十四節気は、小寒と大寒。
一年で最も寒い時季を寒(かん)といいますが中でも25日から29日頃は、七十二候で水沢腹堅(さわみずこおりつめる)という、流れる水さえ厚く凍る季節です。
冬のキーンとした寒さは肌に気持ちのいいもの。都会を少し離れれば、澄み渡る冬の夜空に輝く星座を見つけることができます。そんな、きりりとした空気を楽しみながら、一年のプランや目標を立ててみましょう。

そこで今回は、年齢を重ねても若さと美しさを保つための美容習慣を挙げてみました。一年の始まりに、できるものから、取り入れてみてください。

若さの決め手
成長ホルモンの
分泌を促す

夕食後はスマホを見ない

数あるホルモンの中で、老化防止にダイレクトに関わるのが成長ホルモン。成長ホルモンは睡眠中、とくに入眠後の深い睡眠の時間帯に分泌が促進されます。睡眠の質を高めるためにはお休み前に心身をリラックスさせることが重要です。夜に強い光を浴びると、活動時に活発になる交感神経が優位になり、リラックスモードへの切り替えがうまくできません。そして成長ホルモンの分泌が低下することになってしまいます。
夕食後から寝るまでは、休息の時間と考え、パソコンやスマートフォンの画面をなるべく見ないように習慣づけましょう。

目覚めたら朝日を浴びて深呼吸

ホルモンや体温、内臓の機能などをコントロールするのは、自律神経です。
自律神経のバランスを整えるのに重要なのが起きですぐの時間。朝、目が覚めたら、まずカーテンを開け、朝日を浴びましょう。目から明るい光が入ると自律神経は活動モードである交感神経に切り替わり「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが分泌されます。そして深い腹式呼吸をすれば、セロトニンの分泌がさらに促され、ゆったりと幸せな気分になれるのです。たった15秒の毎朝の習慣で一日のリズムが整い、心も体も軽快な一日を送れます。

食事や運動で
内側から美しく

朝の白湯で気分をスッキリ

冷え症、便秘、むくみがちな方にお勧めしたいのが朝の白湯です。白湯とは50~60度くらいの温かいお湯のこと。起き抜けの何も食べていない状態で白湯を1杯飲むと眠っていた内臓が動きだし、栄養を代謝したり老廃物を排泄したりといった機能が活性化します。また、全身を温め、血流を促す効果も期待できるので、美肌づくりやダイエットのサポートにもなるでしょう。

発酵食品を食べる

最近の研究で腸は体の免疫機能の担い手であり、体全体に関わっていることがわかってきました。腸内環境を整えるのは、腸内細菌です。体に有益な善玉菌が優位であれば、アンモニアなどの有害物質の増殖を防ぐことができ、病気の予防につながります。それには、腸内環境を整える発酵食品を摂ることです。チーズ、ヨーグルト、納豆、みそ、漬物、甘酒などを積極的に摂って、免疫力を高めましょう。

座り続けずこまめに立って歩く

体重は増えていないのに体形が変わってきた…。大人世代のこんな悩みは、年齢による基礎代謝の低下が原因のひとつです。運動する習慣がない方には、日常生活の中での〝小動き〟が有効です。1時間すわって作業をしたら、立ち上がって屈伸運動や伸びをする、使ったものをこまめに片付ける、など、1時間ごとにちょこちょこ動くだけでOK。すわりっ放しをやめて動く癖をつけることが、太りにくい生活の第一歩です。

1日に一度、空を見上げる

現代人に多い肩や首の凝り。
その原因は目の酷使にあるといわれています。例えばスマホ。画面を見るときは、首が極端に前傾し、他の動作ではあり得ないほど姿勢が悪くなります。1日に一度は背すじを伸ばし、胸を開いて空を見上げてみましょう。それだけで呼吸が深くなりまっすぐな美しい姿勢を保てます。

バスタイムは必ず湯船につかる

疲れを翌日に残さないことも、美と健康の秘訣。一日の疲れをとる最良の方法は、湯船に浸かることです。入浴には、温熱の効果、水圧の効果浮力の効果があり、3つの効効果によって血流が改善し、むくみも解消リラックスできます。
寝る前に体を温めれば上がった体温が下がることによる快眠効果も得られます。入浴剤やボディソープなどで香りを楽しめばさらに充実のバスタイムに。

明日できることは、明日に回す

やることが多すぎて、やろうと思ったことが終わらない。確かに一日は、あっという間。だからこそ、生活の中にちょっとした余裕をもつ事がたいせつです。待ち合わせの場所に30分早く行ってお茶を飲む、今日やらなくていいことは、明日に回す。あわただしい毎日に少しだけゆとりができると、気分がゆったりします。余裕のある人は、周りの人の目にも素敵に映るものです。

自分のための時間をもつ

人生は自分だけのもの。家族や社会のために頑張っている方も自分のための時間を大切にしてください。
「いつかやりたい」「暇ができたらやろう」と思っていることがあるなら、少しだけでも始めてみてはいかが? 自分の中の好奇心や可能性の芽を育てることで、内面の美しさに磨きがかかります。今年は、そんなワクワクする瞬間をぜひ増やしていってください。

小さな目標を立てる

日々を充実させるのに役立つのが、小さな目標を立てることです。
「この本を読む」「部屋の模様替えをする」「断捨離をする」などなんでもOK。達成可能な小さな目標があると、日々、充実した時間を過ごすことができます。
年齢を重ねても、常に前を向いて暮らす。それが心身ともに若さと健康を保つ大事な秘訣です。
いくつになっても若々しく、きれいな人は、ちょっとだけでも人と違うことを実践しているものです。
少しの心がけですが、続けることで生活も人生も上向きに変わってくるものです。

岡尾知子

美容ライター。国際薬膳師。鍼灸師。国際中医師。美容ライターを経て東洋医学の世界へ。雑誌やWebでライターとして活動しながら鍼灸師の資格を取得。現在、鍼灸の施術と薬膳教室の主宰も行っている。