連載コラム「美のリズム」
国際薬膳師 岡尾知子

vol.8
薬だけじゃない!
自分でできる花粉症ケア

まだまだ寒さが厳しい時期ですが春はもうすぐそこ。2月の二十四節気は「立春」と「雨水」で、暦のうえでは一足早く春の訪れを迎えます。
昼間の時間が徐々に長くなるこの季節は、自然と気分も上向きになるもの。でも、ひとつだけ憂鬱なのが多くの方が悩まされる花粉症。予報によると、今年は花粉の散量が多いようです。「いよいよ今年も……」と、暗い気持ちになっている方もいるのではないでしょうか。

*二十四節気:一年を二十四に分けてその区切りで季節の節目を表す”暦”。

どうすれば症状が軽くなるのか…。
ヒントになるのが、アレルギー体質に対する東洋医学的なアプローチです。そこで今回は、東洋医学と薬膳の観点から花粉症のケアを考えていきます。

バリア機能を保つこと

アレルギーに関わる花粉症ですが、東洋医学では、ウイルスや花粉などの外邪から守ってくれる「衛気(えき)」の低下と密接な関わりがあると考えます。「衛気」とは、体のバリア機能のようなもの。ひどい風邪をひいてしまったり、疲労で体力が低下したりすると、衛気が衰えて花粉症の症状が出やすくなると考えられているのです。

「肺」は、乾燥を嫌い、潤いを好む臓器なので、花粉症対策としては、皮膚や粘膜、体内を乾燥させないことが大事。加湿器を使ったり、保湿ケアを行ったり、こまめに水分を取ったりして潤いを補うことを心がけてください。食べ物では、白きくらげ、白ごま、れんこん、はちみつなどが潤いを補うのにおすすめです。

体質別に花粉症をケア

くしゃみ、鼻水、目のかゆみなど、花粉症には共通の症状があります。
ただ、細かく見てみると、体質の違いや気候によって微妙に症状も異なります。そこで、花粉症のタイプ別に、それぞれに合った適切なケアをご紹介します。

あなたはどの花粉症タイプ?

まずはチェックテストで、自分の花粉症タイプを確認しましょう。
下に挙げる3タイプのチェック項目を読み、該当項目の多いものがあなたのタイプ。花粉症の時季によってもタイプが異なるので、ご注意ください。

「寒」TYPE

□おなかや手足の冷えが気になる
□鼻水がサラサラで水っぽい
□くしゃみがよく出る
□風邪をひきやすい
□舌の表面に白い苔が薄くある
冷えを抱えている人や、春先の肌寒い時期に多いのはこのタイプ。必要なのは「冷え」を改善すること。一日の終わりに湯船でゆったり体を温めながら、乾燥した皮膚や鼻の粘膜を潤してください。

➡「寒」タイプに
おすすめの薬膳食材

ねぎ、しょうが、大葉(紫蘇)、シナモン、パクチー、三つ葉などの薬味食材がおすすめ。体を温めながら花粉などの外邪を発散させてくれます。

「湿」TYPE

□特に鼻水が多い
□体がむくむ
□頭が重く、体がだるい
□雨の日とくにつらい
□舌の表面に白く厚い苔がある
日ごろからむくみやすい人に多いタイプ。湿気と冷えによって水分が停滞し、くしゃみや鼻水のほかに、頭が重い、体がだるいなどの症状が出るかもしれません。消化機能が弱っていることが多いので、脂っこいもの、甘いものを控え、おなかを健やかに保ちましょう。

➡「湿」タイプに
おすすめの薬膳食材

大葉(紫蘇)、しょうがは消化機能を健やかに保つ助けに。ハトムギ、大豆は余分な湿気の排出を促します。小豆もおすすめですが、甘い〝あんこ〟で食べないことが大切。

「熱」タイプ

□鼻水が粘っこい
□のどや口の渇きがひどい
□目の充血やかゆみがつらい
□肌の赤み、痒みが出ることも
□舌の苔は少なく舌の色が紅い
気温が徐々に上がってきて、花粉症の後半の時季になるとこのタイプが出てきます。ふだんから鼻に炎症のある方にもよく見られます。ストレスなどで体に熱がこもらないよう、鎮静させることが重要。辛いものや刺激の強い食べ物、アルコールは控えましょう。

➡「熱」タイプに
おすすめの薬膳食材

セロリ、きゅうり、トマトなど、みずみずしい野菜は、潤いを与えながら熱を取り除きます。余分な熱を発散させてくれるミントもおすすめ。

いかがですか? 自分に合ったケアを取り入れることで、つらい症状が少し楽になるかもしれません。花粉症の予防・軽減策のヒントとして、役立ててください。

岡尾知子

美容ライター。国際薬膳師。鍼灸師。国際中医師。美容ライターを経て東洋医学の世界へ。雑誌やWebでライターとして活動しながら鍼灸師の資格を取得。現在、鍼灸の施術と薬膳教室の主宰も行っている。