連載コラム「美のリズム」
国際薬膳師 岡尾知子

vol.14
夏太りを防ぐコツ

暦の上ではすでに二十四節気の立秋。お盆明けには朝晩の風に、秋の気配も感じられます。そうは言っても、日中はまだまだ暑い日が続きます。
最近は夏やせより夏太りに悩む女性が増加しているそうです。体力が奪われ、食欲もなくなっているはずなのに、なぜ太ってしまうのか。あなたは大丈夫ですか?

二十四節気:半月ごとの季節の変化を示す暦。それをさらに分けて自然界の移ろいを知らせるのが七十二候。

夏太り対策1
閉じこもらずに外出を

夏太りのひとつの原因は基礎代謝の低下。基礎代謝とは内臓を動かしたり、呼吸したりといった、生きていくために最低限消費するエネルギーのこと。基礎代謝が低い人は太りやすい体質といえます。
基礎代謝量を決めるのは主に体格です。筋肉の少ない人ほど基礎代謝は低くなります。さらに暑いからと冷房のきいた部屋に閉じこもっていれば、運動量も減るので夏太りしやすくなります。炎天下を避けて積極的に外出すれば夏太り体質から抜け出せます。朝晩の散歩や軽いストレッチで体を動かしましょう。

夏太り対策2
たんぱく質や乳製品を

「夏の運動はつらいから、せめて食事を減らそう!」
実は、それも代謝低下の一因となります。食欲の出ない日でも冷たいそうめんやうどんなら食べやすいのですが、それだけではダメ。肉や魚、野菜がどうしても不足してしまいます。
炭水化物をエネルギーに換えるためにはビタミンB、とくにビタミンB1やB2が必要です。水溶性ビタミンであるビタミンB群は、体にためておけないため、毎日コツコツ摂取する必要があります。
ビタミンB1は豚肉、うなぎ、大豆などに、ビタミンB2はレバー、牛乳、アーモンドなどに豊富。「食べる量は少ないのになぜか太る」という方は、たんぱく質やナッツ、乳製品を意識してとりましょう。

夏太り対策3
お風呂と睡眠

暑さでグッスリ眠れないことも、実は夏太りにつながります。
私たちの体は、自律神経によってコントロールされています。日中は、体を活動モードにしてくれる交感神経が優位になり、エネルギーを積極的に消費し、円滑に活動できるように働きます。
寝ている時は、逆に休息モードの副交感神経が優位になりますが、睡眠が不十分だと副交感神経と交感神経の切り替えがうまくいかなくなります。そのため、代謝量が減って太りやすい状態に陥ってしまうのです。

簡単でおすすめなのは暑い夏も湯船に浸かって十分にリラックスすること。
ぬるめのお湯にゆったり浸かることで、自律神経が副交感神経に切り替わり、質の高い眠りを得ることができるのです。その結果、朝スッキリと目覚め、日中は元気に活動できる代謝のいい体をつくることができるでしょう。

8月のお盆過ぎは、七十二候でいう「寒蟬鳴ひぐらしなく」という季節。夕方に鳴くひぐらしは、ちょっと物悲しく聞こえ、夏が終わるのを惜しんでいるかのようです。
もうすぐ終わる夏を上手に過ごして、生き生きと秋を迎えましょう。

岡尾知子
国際薬膳師

「ロータス薬膳教室」主宰。美容・健康ライターの仕事を通じ東洋医学に関心を持ち、薬膳、漢方を学ぶ。講師活動のほか、雑誌、WEBなどで、暮らしに役立つ薬膳や養生に関する情報を発信する。