連載コラム「美のリズム」
国際薬膳師 岡尾知子

vol.9
肌がゆらぐ季節の
見直しスキンケア

ひと雨ごとに温かくなってくる3
月。15日から19日頃を七十二候で
は、「菜虫化蝶(なむしちょうとな
る)」といい、さなぎが蝶へと羽ば
たく日和を指します。自然界は芽吹
きの季節となり、私たちの暮らしも
ひとつの節目を迎えるのです。

春一番が吹くこの時季は、花粉やホ
コリなどの飛散が激しくなります。
空気も乾燥し、肌のコンディション
を崩しやすく、肌荒れや赤み、痒み
を訴える人が急増します。
特に40代以降の肌は要注意。加齢
によるホルモンの変化や水分量の
低下で、肌老化が一気に進んでしま
うかもしれません。肌が敏感になる
この季節こそ、これまでのスキンケ
ア習慣を見直してみましょう。

さえない素肌は
ホルモンの減少が原因

40代を迎えると、加齢による肌の
変化が顕著になってきます。それは
肌の水分保持力や新陳代謝が衰え
てくるからです。
みずみずしい素肌をつくるのに欠
かせないのが、女性ホルモンのエス
トロゲン。エストロゲンは肌の弾力
を保ち、水分を保持する作用があり
ますが、40代以降は、分泌が急激
に低下。水分保持力やコラーゲン量
が減少し肌の老化が進むのです。

肌の潤いに関わる
成長ホルモン

肌の新陳代謝に関わるのは成長ホ
ルモン。40才を過ぎるころから、
この成長ホルモンの分泌が急激に
減少。新陳代謝が衰えて、肌老化が
加速してしまうのです。
これまでに比べ、「春先に肌の調子
が崩れるな」と感じたら、こうした
変化が始まっていると考えてくだ
さい。

「肺」は、乾燥を嫌い、潤いを好む
臓器なので、花粉症対策としては、
皮膚や粘膜、体内を乾燥させないこ
とが大事。加湿器を使ったり、保湿
ケアを行ったり、こまめに水分を取
ったりして潤いを補うことを心が
けてください。食べ物では、白きく
らげ、白ごま、れんこん、はちみつ
などが潤いを補うのにおすすめで
す。

年齢肌 4つの敵

そこで行うべきは、これまでのスキ
ンケア習慣の見直しです。40代以
降の女性には、20代の頃と同じお
手入れを続けている人が少なくあ
りません。でも女性ホルモン、成長
ホルモンが活発だった20代の頃と
加齢によるホルモンの減少が著し
い今とでは、肌の状態は明らかに異
なります。当然、同じスキンケアで
は対応できないのです。
注目すべきは、肌老化を加速させる
「4つの敵」です。

1.炎症

皮膚への刺激によるダメージも無
視できません。ダメージによって皮
膚に炎症が起こることも、老化の原
因となるからです。紫外線、花粉、
ホコリなどのほか、手やスポンジで
の、こすり過ぎも要注意です。

2.紫外線

紫外線を浴びると、メラニン色素が
作られ、シミの原因となります。と
くに、紫外線の中でも波長の長い
UVA波は、皮膚の奥の真皮にまで
届いてシワ、たるみの原因に。ター
ンオーバーが緩やかになってくる
40代以降は、こうした紫外線の影
響が出やすくなります。

3.血行不良

年齢と共に血液の循環も悪くなり
ます。そうなると必要な酸素や栄養
を体のすみずみに届けることがで
きません。さらに、老廃物の排泄も
スムーズにいかなくなるので、肌の
つやも失われがちになってしまい
ます。

4.活性酸素

活性酸素とは、肌をサビさせるもの。
紫外線、タバコ、ストレスなどによ
って発生し、細胞を酸化させます。
活性酸素が増えれば肌はもちろん、
体全体の老化が進みます。若々しさ
を保つには、活性酸素をためない生
活習慣が重要です。

見直し1:こすらないクレンジング

見直したいのは毎日のクレンジン
グ。脱脂力の強いオイルタイプは肌
の潤いまで取ってしまうので、マイ
ルドなミルククレンジングかクリ
ームクレンジングに。肌への摩擦は
肌を痛めるので、充分な量を手にと
り、こすらないようにメイクとなじ
ませましょう。マイルドなクレンジ
ングでも落とせるよう、普段のメイ
クを軽めにすることも大切です。

見直し2:朝と夕方の日光浴

紫外線から肌を守るために、日焼け
止めは、季節を問わず毎日使ってく
ださい。ただし、更年期以降は骨が
もろくなり、骨粗しょう症のリスク
が高まります。カルシウム生成のた
めには、日差しの弱い時間帯に日光
を浴びるようにしましょう。

見直し3:美容液、化粧水をやめる

40代以降は、水分だけでなく、角
層の潤いを保持するのに必要な油
分も減少していますから、クリーム
や保湿オイルを意識してプラス。い
つもの化粧水がしみるようなとき
は、化粧水、美容液をお休みして、
肌を保護するクリームだけにする
と、肌のバリア機能が整います。

見直し4:抗酸化&代謝アップ

活性酸素に対抗するには、抗酸化ビ
タミンであるビタミンA、C、Eを
含むキウイやアーモンド類を意識
的に摂りましょう。また、ビタミン
B群のうち特にビタミンB2は、皮
膚や粘膜をつくるのに必要な栄養
素です。乳製品を意識して摂り、健
やかな美肌をつくる土台を整えて
ください。

岡尾知子
国際薬膳師

「ロータス薬膳教室」主宰。美容・健康ライターの仕事を通じ東洋医学に関心を持ち、薬膳、漢方を学ぶ。講師活動のほか、雑誌、WEBなどで、暮らしに役立つ薬膳や養生に関する情報を発信する。